2018年5月13日日曜日

デュアルEPYCマシンを自作する(スモールスタート編)




 AMDのサーバー向けCPU、EPYCで自作しよう!と決めた筆者、
先月はEPYC用マザーボードを手に入れました
つい先日、(まだ1つだけですが)ようやくCPUも入手しました。

 今回はCPUを紹介しつつ、組み立て・仮?稼働までをお送りします。




[購入したCPU]


 買ったCPUは、EPYC 7301(16コア・32スレッド、2.2GHz/ブースト2.7GHz)です。
米Amazonのマーケットプレイス業者(CE Showroom)から購入。
費用はおおむね12万円くらいでした。


貴重?なリテールパッケージ
裏面

品番表示。なぜかブーストクロックが2.9GHz表記

説明書きに日本語はありません

CPUのお出まし。パッケージは食べられません

付属品は説明書とエンブレム。
エンブレムは6cmくらいあって大きい

 さすがに、Threadripper 1950Xよりは高かったです。




[EPYCシリーズ一覧]


 組み立てのご紹介と行きたいところですが、先にEPYCのモデル一覧を紹介します。
以下はすべてデュアル構成向けのもので、シングル向けにも型番にPが入るモデルが
ありますが、ここでは割愛しました。価格は2018年5月現在のAmazon.comにおける相場です。


モデル名仕様価格
EPYC 72518コア/16スレッド、2.1GHz/2.9GHz、TDP120W500ドル半ば~
EPYC 728116コア/32スレッド、2.1GHz/2.7GHz、TDP155W800ドル後半~
EPYC 730116コア/32スレッド、2.2GHz/2.7GHz、TDP155W900ドル前半~
EPYC 735116コア/32スレッド、2.4GHz/2.9GHz、TDP155W1200ドル前半~
EPYC 740124コア/48スレッド、2.0GHz/3.0GHz、TDP155W2000ドル前半~
EPYC 745124コア/48スレッド、2.3GHz/3.2GHz、TDP180W2600ドル~
EPYC 750132コア/64スレッド、2.0GHz/3.0GHz、TDP180W3700ドル~
EPYC 755132コア/64スレッド、2.0GHz/3.0GHz、TDP180W3700ドル~
EPYC 760132コア/64スレッド、2.2GHz/3.2GHz、TDP180W4600ドル~


(ポイント)
・EPYC 7281と7301の違い……定格クロック、L3キャッシュ(EPYC 7281……32MB、7301……64MB)
・EPYC 7501と7551の違い……ここでは書いてませんが、なぜか7551の方が全コア動作速度が遅い。
AMDの記載ミス?


 EPYCの構造上、大きく8/16/24/32コアの4種類に分かれます。
もっとも安いEPYC 7251を選ぶと、比較的に安価にデュアルソケットマシンを組めますが
これだと2つ入れても16コアとなり、ちょっと物足りません。
かといって、24コア以上はいきなり価格がハネ上がります。

 そうすると16コアの7281か7301を選びたいですが、価格差のわりに
L3キャッシュの容量が倍になるEPYC 7301が狙い目であるといえるでしょう。
筆者もそういう理由で選びました。お金がある人は32コアで行きましょう。

[組み立て]


 EPYCはThreadripperと同じソケットなので、組み付けの手順は同じです。
CPUの取り付けにはT20のヘクスドライバーが必要ですが、CPUにはついていないので
もしEPYCを買う人は準備しておきましょう。






 ご存じでない方もいるかもしれませんが、
デュアルマザーといっても別にCPU1つで動かすことはできます。
と言っても、2個いっぺんに揃えるのが普通だと思いますが……


CPUとマザーボード上のデバイスがどう接続されるか
分かるブロック図。
ほとんどのデバイスはCPU1側とつながっています

 上の図のように、一部のデバイス以外はCPU1だけあれば動くようになっています。
と言ってもCPUは2つ欲しいですよね。当然買う予定です。

 本組みの前に、とりあえず仮組みで動作確認を行ないました。
メモリはXeon時代のDDR4-2133 32GB LRDIMMを4本使い回し。
ビデオカードとSSDは適当に用意しました。
CPUクーラーは、Amazonの欲しいものリストからENERMAX・LIQTECH TR4 280
2つも送ってくださった方がいらっしゃったため、こちらを使わせていただくことにしました。
280mmラジエーターの簡易水冷クーラーです。





仮組みの様子

[トラブル]


 自作にはトラブルがつきものですが、仮組みしたときに以下のような問題がありました。

・メモリが1つ認識しなかった……Kingston製が1つ故障っぽいので、修理に出しました
・UEFI設定から抜けるとブートしてこない……UEFIを最新に更新したら解決。

 前者は日本で買った永久保証品なので、気楽?に修理へ。そのうち交換されるでしょう。
後者はハマってしまい、何回かCMOSクリアをするハメになりましたが
UEFIを1.0C→1.1(2018年5月現在の最新)に上げたら一発で改善しました。


[注意点]


①トラブルではないですが、今回のマザーボード(Supermicro H11DSI-NT)は
標準だとビデオカードから画面が出ません。
Supermicro製のサーバー向けマザーボードにはIPMIが装備されており、
他のマシンからネットワーク経由で状態を確認したり電源を操作したりできます。
初期設定はこちらへの出力がデフォルトになっているので、
UEFIで設定を変更しないといけませんでした。

 画面が出ないのにどうやって?という感じですが、IPMI経由で
他のマシンからUEFI画面を見ることができるため、これで設定します。


専用のLANポートにLANケーブルを挿しておき
他のマシンからアクセスする。
UEFI設定やOSインストールなどもできます


または、IPMI用のアナログVGA接続がマザーボードのバックパネルにあるので
ディスプレイにアナログ端子があればこれから画面を出せます。
いまどきアナログなんて使ってねえよという人は、やはり他のマシンから
IPMIを使いましょう。

 上記の設定をした後は、ビデオカードからでも画面が出せます。面倒ですね。


②このマザーボードにSATAデバイスをつなぐ場合、
基本的にはSFF-8087 - SATAのケーブルを使います。こんな感じのやつです。


あらかじめ準備しておいた

 サーバーやRAIDカードでは昔から使われてますね。
このマザーには2つコネクターがあり、それぞれ4本ずつ接続できます。





 昔は数千円したと思ったのですが、今やAmazonで1000円台で買えます。恐ろしい。


[まとめ]


まださみしいケースの中身


 まだ仮の運用みたいな感じなのでスペック的には全然ですが、
ちょっとずつ進めていければ……という感じです。
まずはもう1つCPUを買いたいところですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿