2020年12月23日水曜日

ThinkCentre M75q Tiny Gen2の要点

 だいぶん遅くなりましたが、発注から1カ月(11/1注文、12/10受領)ちょっとで
筆者の手元にも届いてました。
正直レビューはそこら辺にいくらでもありますので、今さら載せても仕方ないかな……
という諦め(というか手抜きだな)があるわけですが、
今回はM75q-1 Tinyから何が変わったか、アレはどうなのかなどの点だけまとめました。
読めば5分で『結局Gen2どうなん?』がわかる……はず。

今回の記事は以下の構成で行なっています:

[構成]
Ryzen 7 PRO 4750GE(8コアAPU)
メモリ32GB(DDR4-3200定格、Crucial、16GB×2)
KIOXIA EXCERIA SATA 2.5インチSSD(960GB)
Plextor px-512m9pgn+(512GB NVMe SSD)
Intel AX200(802.11ax対応無線モジュール)
Windows 10 Pro(20H2、クリーンインストール)



[目次]

  1. 外観の変化
  2. 内部の変化
  3. M75q-1 Tinyとの差異など
  4. パフォーマンス
  5. まとめ

1.外観の変化




  • フロントデザインの変更(電源ボタンやUSB位置が変わった)
  • 通気口が増えたり減ったりした(フロントベゼルや両サイドに通気口が増え、
    背面のM.2部分からはなくなった)
 フロントデザインがやや変わり、最新のM70q/M80q Tinyなどと同じ外観に。
背面デザインはほぼ変わらないため省略。
全体的なサイズは、HWD(高さ、幅、厚み)どれも微妙に数ミリ大きくなってますが
ほぼ大差ないレベル。今までと同じ感覚で使えます。

2.内部の変化

ファンの形状がちょっと変わった

  • ファンの形状/取り外しの方法が変わった(排気口側から外す)
  • フロント側無線アンテナのマウント方法が変わった(取り外しが容易に)
 内部の基本的なレイアウトはほぼ変更ありません。
背面のメモリスロットやM.2についても変化なし。
2.5インチ用トレイやケーブルは、前と同じくNVMe SSD構成で買ってもついてきます。

3.M75q-1 Tinyとの差異、確認事項など


①AC交換はしなくてもよい
 これが一番重要だと思いますが、M75q-1 Tinyのように大出力ACアダプターへの
交換は不要です。やっても意味がないです。理由は簡単、CPU/GPUの消費電力が
厳密に制御されており、標準添付の65Wアダプターで賄える範囲でしか動かないからです。

 消費電力の制御はキッチリやっており、たとえばOCCTのように
CPU/GPU両方へ高負荷をかけるようなアプリケーションを実行しても
70W以上消費されることはほとんどありません。これは135Wや、
それ以上の出力のアダプターに交換しても同じ。
CPUに高負荷をかけた状態で、GPUに高負荷をかけても同様で、
主にGPU側のクロックを制限することで消費電力を一定レベルに抑えています。

 マシン構成によっては、最大値が70Wを超えることがあるかもしれませんが
これでも純正の65Wアダプターが最大負荷時で80W以上
出力できるため、問題にはなりません。


PCMARK10を65Wアダプターで実行

こちらは135W。ほとんど結果変わらず


tドラクエ10ベンチマークを65Wで

こちらは135W

 一例として、PCMARK10やドラクエ10ベンチマークでの
65W時/135W時の比較を示しました。
特にドラクエ10のベンチマークの場合、M75q-1 Tinyの時は
ACの出力によって露骨にパフォーマンスが変わっていましたが
M75q Tiny Gen2は全くそういうことがありません。消費電力も変化なし。
念のため、170Wのアダプターでも行なっていますがこれも変化なし。

 一応、最大消費電力に対してアダプターに余裕をもたせるという意味で
90Wとか135Wのアダプターを使うのはアリかもしれません。
ただ、性能に寄与する面はないというわけです。


②4K60Hzで3画面出力できる
 できます。これはM75q-1 Tinyの時と同じですね。
筆者はHDMI(標準)+DisplayPort(標準)+Type-C(オプション)の
組み合わせで確認しました。仕様上、HDMI端子は1.4ということでしたが
M75q-1と同じく4K60Hz出力は可能ですし、HDRも有効にできます。

 なお、今回のType-Cは公式で追加でき、USB3.2 Gen1の信号も来ているので
タッチパネル付モバイルディスプレイとの運用に実に相性がいいです。

③APUの使い回しについて
 Twitterなどで話題になってますが、M75q Tiny Gen2で一番選ばれている(であろう)
8コアのRyzen 7 PRO 4750GEは、自作PC向けマザーボードで動作しない
報告がたくさん出ています。中には、対応リストに4750GEが載ってるにもかかわらず
動作しないものもあったようですね。
一般売りしないTDP35Wモデルだけに、使い回しできたら楽しいわけですが
現状では抜いて使う事は考えないほうがよさそうです。

2021/1/2追記:
どうも本機にはCPUを何らかの形でロックする仕組みがあるらしく、
本機に挿したAPUが、他のマザーボードなどで動作しなくなるという
報告をTwitterで見ました。おっかねえな。




 ロックの範囲(同じベンダーのPCのみ?入れた個体のみ?)とか、
具体的な手法まではわかりませんが、かなり面倒な仕組みです。
以下の記事に似たような話が載っているので(Dell製のEPYC搭載サーバーです)、
もしかしたら同じような機能を使っているのかもしれません。
 APUの入れ替え、流用は考えない方がよさそうですね。



④その他
・BIOSの隠しメニューは、今回ありません。
・DASH機能は前と同じように使えます。できることも同じ。
KVMもちゃんと機能しますので、他PCから起動/BIOSメニュー設定/OS操作など
一通りできるようになっています。

4.パフォーマンス

 消費電力は制限されているにもかかわらず、性能はちゃんと向上しています。
上のドラクエベンチマークだけでも、135W AC使用時のM75q-1 Tinyより
スコアは2割弱向上しています。PCMARK10でも同様です。
 Ryzen 7 PRO 4750GEの性能ですが、同じ8コアの4750Gと比べると
おおむね消費電力は半分近くまで抑えられているわりに、CPU性能は8割弱出ています。
ワットパフォーマンスは相当いいと言えるでしょうか。
同じマシンで比較したわけではないので参考程度ですが……

 あと細かい話ですが、前面USBポートのうちType-Aの方は
USB3.2 Gen2接続のため、NVMe SSDの外付けケースなんかと相性がいいです。
パフォーマンスもちゃんと出ています。

Optane 800p(58GB)を外付けケースで接続した結果

5.まとめ

 高くなったとはいえ、Gen2は相変わらず安いし性能もちゃんと出ています。
さらに消費電力も控えめ、インターフェースも実用性が高まっています。
遊び要素が少ないのが残念ですが、普通に使えるマシンとしては
これ以上ない選択肢といってもいいでしょう。





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